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だれかといない場所
¥2,200
共有地にはかならず他者がいる。 「共有地だ」と思う場所では、その他者とわたしはつながることよりも、つながらないことのほうが多かった。 だれかの個人的な営みや行動、だれかの思いや試行錯誤、だれかののこり香――ここにいる/いただれかが、たたずみ、見わたす気配だけがあって、ここは、わたしもいる場所である、あなたもいる場所である、という空間だけがある。 「だれか」同士のまま、ひとりでたたずみ、見まわす、――やすらぎ、くつろいだとき、軌跡と、場、そのものが、「わたしたち」である場所を、共有地と、わたしは呼ぶのかもしれない。 まち、書店、本(をつくること)、居場所と名乗り開かれた場所、五つの『共有地』で営む存在たちのエッセイ5編収録。 執筆者 井上彼方(VGプラス) 小泉初恵(水俣・相思社) 佐藤創(鳥羽・なかまち) 関口竜平(本屋lighthouse) 大東悠二(HIBIUTA AND COMPANY) 編集・井上梓 小エッセイ・孤伏澤つたゐ 関口竜平 適当な空間、得体の知れない大人 「町には本屋が必要だ」。そんな言葉を「本」を取り巻く状況ではよく耳にする。本屋は共有地、とも。いったい町に必要とされている本屋とは、共有地であるとは?そんな逡巡なんて関係なく乱入してくるこどもたち。書店主と子供たちの関係について。 井上彼方 それでもその先を夢見て 小説を書く/読む場を開くとき、書籍は読者が集う場所になる。SF小説を通して、そして、一緒に暮らしているぬいぐるみや猫たちとのかかわりを通して、「他者」のいる場を考えてゆく。 ここではないよりよい世界を夢見ることの、現実を変革する力を信じて。 小泉初恵 水俣、メガネ、天然魚 海と山に囲まれた小さな町、水俣。全国どこにでもありそうなこの町はかつて水俣病が起きた場所。そして、天然の魚みたいなひとがたくさんいる。この町で起きたことを、語り、伝えようとしてゆくことを、町の外からやってきて、町に暮らすまなざしで語る。 佐藤創 鳥羽・なかまちに住んで 三重県は鳥羽、なかまちに、地域おこし協力隊としてやってきた佐藤さん。地域の人とのほど良い距離感や関係、この町に住み、事業をやってゆくことについて。ちょっとだけ自由な無法帯での生き方の具体例。 大東悠二 わかち合う時を求めて、わたしたちの共有地をつくる 子どものころ、母と映画をみた時間が「わかち合い」の原点だった。 二度のパリ旅行、シェイクスピア&カンパニー書店との出会い、ちがいのある人が共に過ごせる「共有地」、だれもに開かれた「場」づくりの軌跡。 目次 はじめに 関口竜平 適当な空間 得体の知れない大人 井上彼方 それでもその先を夢見て 小泉初恵 水俣、メガネ、天然魚 佐藤創 鳥羽・なかまちに住んで 孤伏澤つたゐ まちのいちぶのヘンテコリン 大東悠二 わかち合う時を求めて、わたしたちの共有地をつくる。 ページ数 128 判型 B6 装丁 やまぎわさゆり 著者プロフィール 井上彼方(著) SF企業VGプラス合同会社代表。オンラインSF誌 Kaguya Planetのコーディネーター、SFレーベルKaguya Booksの編集者。編書『新月/朧木果樹園の軌跡』『京都SFアンソロジーここに浮かぶ景色』(社会評論社)、共同編集『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』など 小泉初恵(著) 一九九一年兵庫県神戸市生まれ。自由学園卒業。立命館アジア太平洋大学卒業。二〇一五年から一般財団法人 水俣病センター相思社 職員。現在は展示・資料担当。二〇二三年から 一般社団法人 水俣・写真家の眼 事務局。 佐藤創(著) 一九八八年生まれ。東京都あきる野市出身。大学で映像制作を学び、卒業後テレビ番組制作会社等で働く。二〇一七年、鳥羽市に地域おこし協力隊として移住。鳥羽なかまち会代表。 関口竜平(著) 一九九三年二月二六日生まれ。法政大学文学部英文学科、同大学院人文科学研究科英文学専攻(修士課程)修了ののち、本屋lighthouseを立ち上げる。著書『ユートピアとしての本屋 暗闇のなかの確かな場所』(大月書店)。将来の夢は首位打者(草野球)。特技は二度寝。 大東悠二(著) 一九八六年生まれ。三重県伊勢市出身。高校卒業後、障害福祉サービスに十年従事したのち、二〇一五年に合同会社おうばいとうり設立。三重県津市久居で生きにくさを抱えた人の居場所(ひびうた)と、違いのある人が共に過ごせる共有地(HIBIUTA AND COMPANY)をつくっている。 孤伏澤つたゐ(著) 二〇二三年九月日々詩編集室から『ゆけ、この広い広い大通りを』刊行。代表作は『幻想生物保護官日記』『浜辺の村でだれかと暮らせば』(いずれもヨモツヘグイニナ刊行)。澁澤龍彥が好き。 井上梓(著) 日々詩編集室室長 装丁者プロフィール やまぎわさゆり 三重県在住の絵描き。6年前にオリジナルキャラクター「もじもじねずみ」が誕生し、絵を描く活動の傍ら、2021年にシルクスクリーンで遊べるアトリエ『旅するアトリエmojimoji』をオープンしました。
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日々詩編集室アンソロジーvol.1 わかち合い
¥1,000
日々詩編集室で初めて作った書物です。 31名の寄稿者さんの作品……写真、エッセイ、小説、イラスト、詩など、 HIBIUTA AND COMPANYのスタッフのエッセイ、 HIBIUTA AND COMPANYの着想を得たフランス・パリ「シェイクスピア&カンパニー書店」への旅行記でアンソロジーを編みました。 表紙はリソグラフ&シルクスクリーン印刷。 本文はリソグラフ印刷です。 A5版/48ページ 表紙にたくさん種類があります。どんな表紙が届くかはお楽しみ。